〜 昭和44年秋 〜

「伊藤蘭です。演劇が好きで将来は女優になりたいと思います。」
「田中好子です。歌うことが好きなのでコーラスに入れたらいいな、と思っています。」

偶然の出会いから数カ月後、ランとスーは揃って音楽学院に入学した。ミキはクラブ活動が忙しく入学することは出来なかった。
しかし2人は常にミキと連絡を取り合い、どんなレッスンを受けているかなど細かく報告していた。

「ランちゃん、あたし達、いつか一緒にTVに出られるのかしら?」
「それが目標じゃない。願い事は、いつかきっと叶うのよ。努力をすればね。」
「3人でTVに出れたら、もう死んでもいい!」
「やだぁ、死んじゃったら美味しいものも食べられないのよ。スーはそれでいいの?」
「やだ! 美味しいもの食べたい。いつかきっと3人でTVに出て、美味しいもの食べるの。」
「ちょっと違うと思うけど、そうね、いつかきっと。」

〜 昭和45年秋 〜

「お父さん、お母さん、話しがあるんだけど・・・あたしも音楽学院に通いたいの。」
「それはいい、是非入りなさい。自分の才能がどのくらいか試してみるのもいいもんだ。」

あっけないくらい簡単に許可され、無事音楽学院に入学できたミキ。これで3人が揃った。
3人はそれぞれの学校が終わるとそのまま学院にやってきてレッスンを受けるのだった。

〜 昭和46年 〜

初めてのレコーディング。しかしそれはスクールメイツとしてグループの中の一員と言う形だった。それでも本格的なレコーディングは初めて。
この頃からスクールメイツとしてNHKの歌謡番組にも出演する事ができた。アン・ルイスや西城秀樹のバックで踊っていたのだ。

「これって、デビューしたって言えるのかな?」
「一応TVにも出たし、レコードも出したし、デビューしたんじゃない?」
「でもスクールメイツとして、でしょ。私達3人だけじゃないもの、まだ目標を達成したとは言えないと思うわ。」
「そうかぁ、TVで美味しいもの食べてないもんね。」
「何それ? 料理番組に出たいって事?」
「そうじゃ無くて。。。(笑) 私達の目標は3人でTV出演、そしてレコードデビューよ。」