その周辺

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キャンディーズって何?

解散とその周辺

 あゝ“運命の日”は刻々とセマる。ついに、ついに、あゝ、口にするのもいまわしや、キャンディーズ解散・・・。あと2カ月にセマった“その日”を前にファンの心は大きく揺れ動いている。が揺れ動くのはファンの心理のみならず、キャンディーズ周辺も、にわかにあわただしさを増している。ラスト・レコード、応援歌に解散コンサート、それに彼女たちのソロ独立説・・・と、歌謡界は今や“普通の女の子に戻る”三人娘に振り回されている。

 まずキャンディーズのレコード「わな」に続く涙、涙のサヨナラ盤は「微笑(ほほえみ)がえし」(CBSソニー・2/25)に決まったが、同曲は“ベスト・シングル”といえるもので、彼女らの過去のヒット・タイトルが盛り込まれ「年下の人」「ハートのエース」「春一番」「アン・ドゥ・トロワ」というフレーズが次々出てくる、というもの。B面「かーてん・こーる」は文字通りの“幕閉め”の曲。ファンなら涙なしには聞かれないものだ。
 “最後の”オリジナルLPは3月1日に2枚組として出される。一枚目は外国のヒット・ナンバーが収録されているが、二枚目にはナント、スー、ラン、ミキ自らのペンによる作品が4曲づつ盛り込まれている。3人の自作自演曲はかつて「キャンディーズ1・1/2」にも収録されていたが、今回のものは前作をはるかに上回るデキばえとか。
 一方、ラスト・コンサートの方は、3月18日の福岡九電記念体育館を皮切りに金沢(20日)名古屋(21日)広島(23日)岡山(24日)大阪(26日)新潟(27日)札幌(31日)と日本を縦断。“本当の”最終公演は4月4日に決まった。場所は東京・後楽園スタジアム。
 当日の模様は、もちろんライブ盤として収録され、5月21日に2枚組で超特急発売される。(注:実際は3枚組で、1枚は早春譜に入らなかったオリジナル曲)また今年いっぱいは彼女らのレコードが毎月でるという。
 さて、去り行くキャンディーズに最後の声援を、というワケか最近“キャンディーズ賛歌”風のレコードが各社から続々登場している。まず、今まで彼女らのバック演奏を担当、4月4日の“解散日”で運命を共にするグループ、MMPが「スーパー・キャンディーズ」(CBSソニー)という“最初で最後”のレコードを出せば、彼女たち“公認の”ファン・クラブ組織、キャンディーズ・カンパニーが全キャン連・スーパー・スペシャル・バンドを結成し「三つのキャンディー」(東芝EMI・2/5)を制作した。3万人が加入しているといわれる同クラブだけにかなりのヒットが見込まれている。またパラシュートというグループも「Bye Byeキャンディーズ」(キャニオン・1/25)を出したが、BCR調のメロディーにノッた、かなりのできだ。
 その他では、シングル盤ではないが、自ら“キャンディーズ狂”を名のって、作品も提供していたフォークの吉田拓郎がLP「大いなる人」(フォーライフ)の中で「アン・ドゥ・トロワ」を歌っている。特に最後の節で〜さよならキャンディーズ・・・とワザワザ入れるあたりは、拓郎の”お熱”ぶりが、ジカに伝わってくるようだ。

 ともあれ、刻々と近づいて運命の4月4日。ファンはもうドキドキものだろうが、コトここに及んでキャンディーズ自身も、最近かなり動揺している。
 昨年7月の“引退宣言”以来、人気がますます上り始め、ファンの「解散しないでェー」の声が、渡辺プロやレコード会社に引っきりなし。ご当人らもこの声に押されてか「どうしていいか、迷っちゃう」(ラン)と、思わず、“ホンネ?”が、出たりするこのごろだ。
 一説によれば、一応解散はするが、やがて3人は“ひとり立ち”するという話も出ている。スーこと田中好子は、結婚前にもうひと花、ということでソロ・シンガーに、ランこと伊藤蘭は、演技づいているせいか、森繁久弥ファミリーにはいり、女優に転身、ミキこと藤村美樹はシンガ=ソング・ライター系の歌手を目ざしているという。
 これらは、あくまで憶測だが、プロダクションやレコード各社がいま、彼女らの獲得に血マナコになっている、ということだ。解散後、3人は海外バカンスを楽しみ秋には、その“結果”がワカる、という。解散は“わな”か?どうやら彼女らの“普通の女の子に戻りたい”は、意外な方向に進みそうだ。
昭和53年2月 新星堂 ミュージックタウン