17時17分

まだ明るい東京の空の下にするどいギターの音が鳴り響く...

大終演、いや、大狂演の始まりだ。

渡辺茂樹が叫ぶ「手拍子! 手拍子!!」

OPEN SESAME...

MMPの演奏とコーラスでCool & The Gamgのヒット曲が流れる。

まずスーがステージ右の一番高い位置に、ブルーの煙をあげるトーチを持って登場する。
スペインの民族衣装にも似た中世の騎士を思わせる衣装だ。
ファンはすでに興奮を押さえきれず、口々に叫ぶ。

続いてミキが左の一番高い位置に黄色の煙のトーチを持って同じ衣装で登場。
2人が中央に歩み寄ると、ランがセリから赤い煙のトーチを持って現れた。

一段と大きい声、拍手が飛び交う。

3人は中央に寄り添い、エレベータ式の台に乗り、一度高く東京の空に浮かび上がってからそのままステージの中に消えていった。

JUPITER...

Earth & Fireの名曲が流れる。

キャンディーズはこの短い間に金色のキンキラ衣装に変化する。
ステージ中央の隠し扉から飛び出してきた。
宇宙服を思わせるその衣装の腰には未来的なピストルが付けられていた。

HARD TIME...DO IT...

PLAY THAT FANKY MUSIC...

イントロが流れると、約40m先にあるフロントステージに向う移動式の台に乗り、手拍子をアピールする。
ステージ脇に1m置きに設置されたマグネシウムが一斉に火を吹く。紙テープが飛び交う。

続けてDO YOU LOVE MEを歌う。

ミキが中心になりSIR DUKE...
そしてランが中心で朝日のあたる家...
スーが中心でNEVER MY LOVE...

第2回10000人カーニバルで歌われた曲が披露される。
もちろん当時とは比べ物にならないくらい洗練されている。

涙の乗車券...

イントロが流れると再びバックステージへ向かい、黒子によって一瞬の内に黒のフリルの衣装に変わる。

ある愛の唄...

今度は大きなフードのある透明なマントを羽織って登場した。

FANTASY...

そしてミキが静かに歌い始める...

GOING IN CIRCLES...

マントを取ると、その下から白い、いやシルバーに近い
衣装が現れた。全身にちりばめられた透明のビーズがライトを浴びて光る。

お気づきだろうか?

開演されてから約1時間、キャンディーズは歌うこと以外に一言も話していない。

何かを訴えるかのように歌う3人。

再びスライドステージに乗り、フロントステージに向かう。

歌い終えた3人は歩いてバックステージに向かい、後ろの壁がキラキラと輝いたと思ったら、2つに割れ、3人はその中に消えていった。

ファンは気づきもしなかったが、東京はすっかり闇に包まれていた。

(つづく)