キャンディーズ創作物語「伝説の始り」


 〜 昭和48年7月 〜

「ランちゃ〜ん、スーちゃ〜ん、ついに決まったわよ。いよいよレコードが出せるのよ!」

ミキは勢い良く、仕事先の楽屋のドアを開け、こう言った。

「えぇ!?本当に? やったぁ!」
「やっと出るのぉ。もう1年よ1年。いい曲じゃなかったら承知しないから。で、どんな曲なの?」

意外と冷静なランであった。

「まだ解らないわよ。今マネージャーさんから聞いたばかりなんだから。もうすぐ来るわよ。」
「ふ〜ん、、、でもやっと念願のレコードデビュー出来るのね。」
「ランったら。でもほんと、どんな曲かしら?」
「案外、演歌だったりして。」(笑)
「やだぁ、、、やっぱりポップスでしょ。いちおうアイドルだもんね。」
「自分達の事、アイドルだなんて。。ミキ、恥ずかしくない?」
「なんで? 私達、立派、、かどうかはまだ解らないけど、アイドルでしょ。」
「アイドルでもなんでもいいわ。レコードデビューかぁ。。。」

〜 8月 〜

「ダメだ、ダメだ、何にも覚えてないのか? そんなんでよくレコーディングに来れたもんだ。」

都内のレコード会社のスタジオで、初めての曲「あなたに夢中」をレコーディングしている3人。だが、まだ歌詞を完全に覚えていない3人に怒るディレクター。取り成すマネージャー。

「だって、今朝貰ったばかりなんだもの。そんなにすぐ覚えられる訳ないじゃない。」

小さな声で反論するラン。うなずく2人。

「止めだ止めだ、こんなんじゃ仕事になんないよ。」

怒って調整室から出ていってしまうディレクター。それを見て3人、事の大きさに気づき慌てて後を追う。

「待ってください。私達ちゃんとやります。5分ください。絶対覚えます。」
「お願いします。」
「お願いします。」
「・・・よし、やる気はあるんだな? 5分だけ待とう。」
「ありがとうございます!」

急いでスタジオへ取って返し、譜面を見つめる。それぞれが自分のパートを頭に入れる。